経営改革のやり方を間違えると組織風土が病んでくる

  

役員層やマネジメント層の人間観によっても組織風土が形成されます。

 

マネジメントに関わる人の人間観に、「人に任せていたら何をするかわからない、隙があればサボるのではないか、絶えず指示命令をしないと動かない」という考え方と、

 「人は任せることで育ち、大きな力を発揮する」という考え方があります。

 

 その人間観が見えるのは、特に高い課題に取組んだ時です。

 

 私が勤務していた会社は「高コスト体質」になっており、経営改革の一環として工場革新は待ったなしの状態でした。

 工場革新はトヨタ生産方式を取り込むことで進めました。

 外部からコンサルタントを招き、そのコンサルタントと役員が一緒になって革新活動を後押ししました。

 

 革新推進担当のA役員は「私が嫌われても強引にやらせる。結果を見れば、社員はついてくるはずだ」と考えました。

 外部から来たコンサルタントは「強引にやらせても結果がでれば、社員はついてくる」という成功体験を持っていました。

 

 A役員はコンサルタントを前面に押し出して現場の指導会を実施、月に1回の進捗報告会、を行って「できない」とは言わせないやり方をしました。

 コンサルタントが入らない間は社内の推進員が工場に出向いて改革活動の後押しを行うというやり方でした。

 私も、その推進員の1人でした。

 

 工場側は「なぜ、うちの職場が対象なのか?」と言った疑問や、コンサルタントの指導内容に対しても納得できないまま進められ反論もできませんでした。

 それでも初期のころは生産性もあがり、在庫も削減し、一定の成果を出ました。

 

 しかし、挑戦的な課題になると、元々一方的にやらされた活動では「挑戦してみよう」という意欲も出ませんでした。

 

 コンサルタントが指導した通りの活動はできなくなりました。

 

 A役員からすると社内やコンサルタントの手前、出来ないということは許されません。

 月に1回の「進捗報告会」は、改善が進んでいない部署のトップに対しては「なぜ、やっていないんだ!」というつるしあげの場となりました。

 

 いつの間にか「やらせの改革」、「やってふりの改革」に代わって行き、上司はつるしあげを避けるために実態のない改善の報告をするようになりました。

 それを見ている部下たちは上司や役員に対して失望感と不信感が強くなり、職場も疲弊して行きました。

 

 その後は、上司からどんな課題を出しても「また、なにをやらせるんだ」「どんなことを言っても、最後はやらせるんだろ」という被害者意識が蔓延しているような職場の風土となっていきました。

 

 このように、本来は改革を通して挑戦的な思考や行動の旺盛な職場風土に変わるはずですが、他の企業で成功した改革の手法をそのまま進めてもその職場に通用するとはかぎらないと言う事です。

 たとえ、短期的に成果が出ても、「主体性」を無視した改革の進め方は継続せず、組織を傷めることにつながります。

 「経営改革のやり方を間違えると組織風土が病んでくる」ということです。